被害者にならない為の知識-精神薬を学ぶ-

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腰痛に抗うつ薬?

週刊文春5月号(4月4日、4月11日発売)に、腰痛に関する記事が連載されている。

これは、腰痛治療において、抗うつ薬や認知行動療法を推奨する記事である。
腰痛に多分に心理的な要因が関係するとしたことには異論はない。しかし、だからと言って、それが直ちに薬物治療や認知行動療法に結びつくことに重大に抗議する。
数少ない骨のある週刊誌として認めていた同週刊誌にこのような記事が出ることは残念で仕方がない。

今回の記事の要旨は、抗うつ薬の交感神経を緊張させる効果を利用して、痛みを感じにくくするということである。
何かに夢中になっている場合や忙しく動いている時に、人は時々痛みを忘れる場合があるが、今回の腰痛に対する抗うつ薬の効果はそれを狙ったものという。これは、鎮痛剤と同じように痛みの原因を改善するのではなく、神経を麻痺させ痛みを感じさせなくするという対症療法である。

対症療法で有る限り、一時的に効果があったとしても、その内耐性が出来たり、逆説的な症状の悪化の可能性すらある。
さらに、腰痛の本来の原因を取り除く治療機会を失わせ、本来の原因を悪化させる危険性もある。

一つの効能だけ取り上げて、適応外処方を推奨する手口はこれまでも沢山行われてきた。
例えば、2012年に双極性障害のうつ症状に対するジプレキサの適応が承認されたが、その承認時の治験データを確認すると効果があったのは睡眠の増加と食慾の増進のみである。これはジプレキサの統合失調症治療における主要な副作用である過鎮静と肥満という有害事象を逆手に取ったものである。米国では抗うつ薬SSRIの副作用である性欲減退作用を利用してSEX依存症の薬まで発売されている。

そもそも、腰痛に抗うつ薬が一時的に効くからといって、簡単に腰痛を訴える患者に投与して良い薬であろうか?
腰痛に抗うつ薬が効くという報道は、抗うつ薬が持つ様々な負の面を全く考慮していない。
いくら腰痛に効くと言っても、抗うつ薬のもともと持っている性質は変わる訳ではない。うつでない人に、抗うつ薬がどのような影響を及ぼすかは未だ誰も知らないのである。抗うつ薬の安全性が確認されているのは、うつ病患者に対する治験であって腰痛患者に対するものではない。

次は、抗うつ薬SSRIの引き起こす有害事象である。精神科治療学多剤大量処方特集2月号「気分障害治療における多剤併用がもたらす精神症状の複雑化-田島治より引用

SSRI割賦症候群
1.希死念慮のあるうつ病患者を割賦
2.うつ病が逆に悪化
3.アカシジア(強い焦燥と運動不穏)の惹起
4.パニックと不安の惹起
5.躁や躁鬱混合状態の惹起
6.不眠や睡眠構造の障害の惹起
7.強迫的な自殺へのとらわれの惹起
8.敵意を伴うボーダーライン状態の惹起
9.脳波活動の変容の惹起

抗うつ剤の長期投与で生じる問題
・逆説効果(うつの悪化)
・双極性障害における抗うつ剤誘発性スイッチ
・抗うつ剤に対する耐性の出現
・種々の離脱反応の出現
-離脱による気分の正常化
-抗うつ剤中止による気分効用
-抗うつ薬離脱躁病・軽躁病(気分安定剤併用下でも出現)
-抗うつ剤の長期投与による脳の変化が元に戻るのには抗うつ剤離脱後も数か月以上かかる。

SSRIによる情動変化
1.全般的な情動の変化
全情動の強さが低下ないし情動欠如、情動平板化ないし鈍麻
感情より思考に、感情の理解が困難に
感情が偽者で人工的に感じる、情動コントロールが容易に
2.陽性感情の低下
強さと頻度が低下(興奮、喜び、楽しさ、愛情、情熱、熱狂いずれも)
3.陰性感情の低下
-強さと頻度が低下(悲しみ、怒り、攻撃性、不安、心配)

このように、抗うつ薬にはこうした様々な有害な副作用症状がある。
腰痛に効くという一つの効果を取り上げて、推奨してよいものではない。

こうした記事を真に受けた整形外科医が腰痛治療において、安全性の確認がされないまま抗うつ薬を乱処方するような事態になれば、腰痛持ちの人々をむやみに抗うつ薬の副作用リスクにさらす事態となる。本記事は、効果ばかり言って、都合の悪いことは言わずに、国民を恐ろしい副作用リスクにさらすという犯罪的な記事である。

まず、確認しておきたいのは、腰痛に対する抗うつ薬であれ、肩こりに対するデパスであれ、適応外処方という事である。
医薬品や医療は、通常次のような段階を経てその適応は認められる。
効果がある可能性→治験→承認→販売後調査
最終的には、疫学的なデータ分析により証明されて社会に認められるべきものである。
薬の一面の効果だけをとらえて薬物療法を推奨する前に、こうした正式な手続きを経て、安全性を確認するのが先である。

このような適応外処方の乱発は、薬の安全性を確保するための制度の根幹に関わる重大事である。
出版社には、記事の訂正を求めたい。

また認知行動療法が効果があるとしているが、そもそも、認知行動療法自体が効果の確認が行われていない。
そのような非科学的な治療法を推奨すべきではない。
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  1. 2013/04/19(金) 16:42:59|
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精神病と言う神話 トーマスサズ 

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  1. 2013/09/24(火) 02:04:50|
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