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被害者にならない為の知識-精神薬を学ぶ-

精神医療被害連絡会 公式メールマガジンユーザーの為のブログです。

あるPSW(精神保健福祉士)の見た真実

私は、地域のソーシャルワーカー(精神保健福祉士)です。某相談機関で、精神疾患や精神障害を抱える方たちの、生活支援をしています。

もともとは新卒で精神科病院のワーカーをしていましたが、近年の患者層多様化や、治療への疑問と、患者だけでなくあらゆる人が医療に頼りすぎている現状を、自分が地域へ行くことで少しでも何とかしたいと思い、転職しました。

地域に来て一番感じることは、「地域コミュニティの崩壊、機能停止」です。お隣さん、ご近所、自治会、こども会、成年部会、民生委員、世話焼きのおばさんなど、私が子供の頃は、良くも悪くもいろいろなコミュニティがあり、何となく変わっている人や困った人も、地域が当たり前のように(やむを得ずだったのかな?)受け入れ、共存していました。

私が田舎の出身だからかもしれません。父親が床屋で、とにかく多様なお客さんを相手に、話したり、励ましたり、正面切って怒ったりしているのを、見て育ったからそう感じるだけなのかもしれません。

しかし今、私が担当する地域で暮らす、精神科に通院している人たちは、みんな孤独で余裕がなく、自分のことで精一杯。何かあるとすぐ不安になったり何かのせいにしたり、職員に何とかしてもらおうとしたり、自己防衛に必死です。現実を直視できずODやリストカットを繰り返す人もいます。

医療職や福祉職ではない、ちょっとした相談ができる人や話し相手は少なく、孤独な暮らしをしています。老若男女問わずです。むしろ、そういう「当たり前の人間関係」を、病気や障害という理由で、あえて避けているようにも見えます。職員ならば、理解してくれるだろう、むしろ理解すべきだと。これまでの人間関係で、きっとたくさん傷つき、それを自分で振り返ることもできず、支えてくれる人もおらず、全てが怖くなっているのだと思います。

そして、国はその崩壊したコミュニティを再生させる動きは全くせず、むしろそれを福祉の私たちに「サービスとして提供するように」と求めて来ていると感じます。居場所も、話し相手も、相談も、就労も。悪法と言われた障害者自立支援法が、大いにそれを表しています。障害者は、福祉のサービスを使って、働けるようになりなさい。職員は、働けるように指導しなさい、居場所を作りなさい、彼らを福祉で抱えなさい。という意図を感じます。

それって、本当に幸せでしょうか。
私の事業所には日々、何てことない話相手欲しさの電話が異様に多く、私たちは、その中に紛れる深刻な相談を取り逃さないよう必死です。

そして、孤独な人たちは、駆け込んだ精神科での過剰な診断や投薬に何年も何十年も翻弄され、依存させられ、社会参加はできない、身体を壊す、さらに孤立していく。そして、最悪の事態につながる。

私は、関わっていた方の突然死を、何度も体験しました。自殺ではありません。ある日突然、自宅で倒れているのです。第一発見者になったこともあります。

彼らは、何十年も大量に精神薬を飲み、社会参加できず孤立して、医療、福祉関係者とだけのつきあいになっていました。長年の服薬による身体への負担、そして孤独と孤立。

くせはあるけど、愛すべきキャラクターの方ばかりです。

彼らはきっと、こんな死に方を望んではいなかった。当たり前のように多剤大量処方をしてきた精神科医療の、それに従い彼らを抱え込んできた福祉の、そして多くの問題を見ないふりし続けた社会の、犠牲になったのだと思います。

若い人たちや子ども、そして高齢者までもが、メンタルの不調を訴えて精神科や心療内科へ簡単に行く現状。

この人たちも、突然死や自殺のリスクを抱えているのです。いつ亡くなってもおかしくない。

このままでは、この国は滅びてしまう。そう思い、情報をたぐり寄せ、中川さんや内海先生にたどり着きました。

同業者や関係者の中で、同じ想いの仲間に、未だ出会えていません。みんなに言っても苦笑いだし、声をあげることには及び腰です。私は、こうやって発信していくことで、さらに、業界からは孤立していくかもしれません。

でも。目の前の相談者と、とことん向き合う日々が、やりきれない自分の感情が、全てを物語っており、目を背けてはならないと思いました。

病気なんだから、障害者なんだから、援助してよ。何とかしてよ。そうやって不器用に、でも必死で来る相談者たちが後を絶ちません。

これは、そうやって依存してくる本人の自己責任だけの問題でしょうか。

違う。

これは、たくさんの問題が複雑に絡み合った、完全な社会問題です。

病気じゃない人まで、過剰な医療で病気や障害者にさせられている。
そしてそうなってしまうと、もう抜けられない。
薬を減らしたり、やめるための医療や施設はない。

この人、薬全部やめてみたらどうなるかな。もっと楽に生活できるんじゃないかな。
そう思っても、やってみましょうと言う精神科医はいない。試すことすら許されない。

だったら私たち地域にもっとお金をつけてくれれば、24時間体制で訪問に行き、減薬、断薬の援助ができるのに。

福祉に投じる予算はケチっているくせに、精神科医療の失敗が、社会の問題が、当たり前のように、最後の受け皿として、福祉に丸投げされている。

福祉の現場は、それに気づかずに、いや、気づきながらもどうすることもできず、どんどん疲弊している。

疲弊した現場は、自分たちが扱いづらい利用者を、自然と排除する仕組みを作っていく。

福祉に排除された人たちは、社会から完全に排除され、さらに孤立していく。

社会問題を、福祉が尻拭いするのはおかしい。

病気や障害があってもなくても、安心して人とつながれる、誰もが孤独にならない、孤立しない社会。もっとシンプルに、まっすぐに、自分も周りも思いやることができる社会へ。そこに、精神科医療が入る隙はない。

具体的にできることを、あきらめずにやっていきたいです。

まずは、薬の知識をもっと深める。精神科医療で当たり前とされている治療や投薬を疑う。真実とちゃんと向き合うこと。それを多くの人へ、発信すること。

理想だとか抽象的だとか言われても構いません。私はソーシャルワーカーであり、地域で生活する全ての人の、「権利擁護」が使命です。

組織に属している関係上、この場で実名は出せませんが、一緒に活動してくれる関係者のみなさまを、心から待っています。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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  1. 2012/08/08(水) 23:38:28|
  2. 投稿-あるPSW(精神保健福祉士)の見た真実
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

感謝でいっぱいです

私は、集団ストーカー被害者から統合失調症の診断を受けました。自分が劣化したように感じます。日常生活のことがきちんとできなくなりましたし、前は少しストレスに耐える精神力も、ポジティブな感情もありましたが、今では、誰かに依存したい感情がでてきました。でもそこから逃げ出せずにいます。自分の意思が削がれる思いがします。
この美しくて魂のこもった文章を見て、泣けて涙が止まりませんでした。これを書いた方が、社会でつぶされることなく、社会からの支援を受けられるよう、仕事ができるよう、祈るような気持ちです。ありがとうございます。
  1. 2012/08/11(土) 17:08:22 |
  2. URL |
  3. saichoco #-
  4. [ 編集 ]

この国を壊したモノ

この国には昔から地域のコミュニティーがしっかりと息づいていた。
老人と、子供たちが一緒に遊べる神社がそこらにあった。
お祭りに家族で行く。
冬には焼き芋を落ち葉で作る。
そういう国だった。
ところが、戦後に無知なアメリカの指導部が、そういう地域のつながりを破壊した。
神社を壊して、集える場所を減らした。
個人化、などといって、人とのつながりを排除する思想を植え付けた。
先輩が後輩の面倒を見る、という大切な部分を見ないで、暴力的な上下関係だけに視点を当てて、それを忌諱する風潮を作った。

人に心を開けない人が増えた。
自分の悩みは言えない。だから薄い友人関係にしかならない。
さみしいけど、それを許容してきた私たちにも問題がある。
個人では生きていけない当然の摂理を、もっと人に頼り、頼られながら生きていくことの大切さを。
世話焼きなオヤジに、一生懸命人の世話をするジジイに、いつか私もなりたい。
人の輪を大切にして、と思います。
  1. 2012/08/13(月) 11:12:53 |
  2. URL |
  3. アキラ #CQytC6ZQ
  4. [ 編集 ]

はじめまして。
私は昨年PSW、今年の春に社会福祉士の資格を取った専門職です。実務経験こそあまりないのですが、大学在学中から精神医療や精神障害というものについて疑問を持ち続けておりました。
実習や現場で短い期間働く中で、利用者さんや当事者さん方の苦しむ姿を見ながら、この問題がこの国の福祉における根本的な体質の問題や地域コミュニティの崩壊、人々の無理解やマスコミの誤った報道などによって、多大な偏見や差別の中にさらされている結果であることを確信させられました。

私は現在、精神医療や精神障害関連の仕事からははずれているのですが、作業所の職員を短い期間勤めていた当時に知り合った利用者の友人を助けながら、この問題について取り組んできています。
この友人が本当に孤立して、家族からも虐待を受け続け、医療からも偏見を受け、ぶちこまれた病院で拷問を受け、人間として扱われず、大量に薬を投与され、本当に生きる望みもなくし、何度も自殺を図り、人からも裏切られ、何もかもが失われた状態でした。

彼は必死で自分の体験を少しでも調子のいい時に、携帯メールに書き遺して、いつか本にできるように保存していました。
それをある日、職員であった私に読んでほしいと持ってきたのです。
私が疑問に思ってきたことは、何も歴史上の話でなく、今まさにこの人の上にも起きていたことを知り、大変なショックを受けました。
私は専門職として何ができるのか考えました。
しかし、今の福祉現場では、公然と当事者さん方に対してひどいことが行われている現状です。
私は彼の書いた原稿が、心の叫びのすべてであることを見逃すわけにはいきませんでした。
それは彼自身に元気で第一線でバリバリ働いて、ごく普通に生活していた過去があったことを知ったからです。
そんな当たり前にごく普通に生活して、自信を持って生活していた彼がなぜこんなにめちゃくちゃな人生を歩まされることになったのか、これは誰もがありうるごくわずかな歯車の狂いから起こりうることなのだと思いました。
原稿をいつか必ず出して訴えていきたい、だから助けてほしいという願いを、職員だった私に持ってきたのでした。

私は当事者の皆さんの人権というものを考えた時、福祉の専門職としてこのままでいいのだろうかと思うことが多々あって、その度に職場でやりあってはやめるということを繰り返してきました。
仕事を最終的にやめた理由は、職員でいると福祉専門職のままで当事者の彼のことに向き合うことができないと思ったことです。
彼は何もかもを失って、ただ一つ残った原稿を持って私にやってきたのです。
その深い意味を考えると、私はこの2つの資格を取った意味が何であったか、この2つの資格を取ったことに至ったこれからの課題はまさに人間として人に接すること、人という者の誰に対しても尊厳があり、生きる権利があること、その原点について自分自身に対しても向き合っていくことなのだと思いました。
彼が今一番求めているのは、福祉専門職の私ではなく、ごくごく身近で隣でいつも話を聞いてくれる私なのです。
そして私もまた、彼にいろいろ話を聞いてもらって、気がついていないことを教えてもらっているのです。
こういう身近な隣合わせのつながりすらなくなっているのが今の社会の現状なのですね。

仕事ではなかなか一人の人に向き合うことはできません。
また、それはしてはならないことになっています。
しかし、この問題は本当に一人の人に向き合っていかないとなかなか見えてこないことですし、健常のまま専門職になった者にとっては、非常にわかりづらいことだらけで、とても理解にはつながらないのです。
私も今でもしょっちゅう行き違って、容赦なく大げんかの連続です。
それでもお互いしんどくなりながらも、話し合い話し合いしながら、お互いに立場の違う中で学び合っている状態なのです。

彼は今はだいぶ元気を取り戻してきています。
断薬治療も始まって、まだまだしんどそうにしていますが、自分がこれからどうやって生きていきたいのかはっきり目標を持つようになってきました。
原稿を本にしたい、自分の体験を知ってもらって、精神医療の在り方や薬の投与を問いたい、仲間たちを助けたい、精神障害者に対する扱いについての社会問題について生涯を通じて少しでも改善するように運動していきたいといつも言っています。
私もまた、彼の本に続いて、専門職の立場から福祉の現場や社会全体での現状について疑問に感じることを書いて訴えたいと思っています。
彼らがまともに人間として扱ってももらえていないことや、上から目線であごで使われていること、動物以下の扱いを平気でされていることなど、とてもかつて当たり前に普通に生活していた人に対する扱いでは考えられないような現実が起きています。
「人権擁護」とは名ばかりで、本当に私たち専門職は彼らを守ることができているのか、目をそむけてばかりいないか問いたいです。

確かに専門職や福祉の現場では逆行していることなので、なかなか受け入れてもらえず、孤立ばかりしていますが、私も本当の意味での当事者さんの立場に立った支援とは何かということを一生懸命考える同じ立場の専門職仲間を探していました。

せっかく苦労して取った資格です。
今度、私が職場に復帰するとすれば、本当の意味で精神障害者の皆さんに対する人権擁護について関わる仕事がしたいと思っています。
彼も元気になったら、一緒に精神医療の在り方や多剤投与の問題、深刻な人権侵害の実態などを世の中にもっと広め、少しでも生きづらさを抱えた当事者の皆さん方が住みやすい社会になるよう活動していきたいと話しています。
彼はパソコンができないので、私が代わって書きました。

私で何かできることがあれば、ぜひご一緒に活動できればと思っています。
どのようにご連絡を取らせていただいたらいいのかわからないので、また教えていただければ幸いです。





  1. 2012/12/26(水) 16:44:41 |
  2. URL |
  3. まねきねこ #HeBlj19M
  4. [ 編集 ]

まねきねこ様

共感しました。

就労支援施設の職員をしておりますが、仕事としてやっていくには限界を感じています。

同じ様に考える方の言葉に出会えて嬉しく思います。
  1. 2013/01/13(日) 13:14:45 |
  2. URL |
  3. rc #oUIczFWc
  4. [ 編集 ]

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